批判の多い本作だが確かに問題点は多い。

まずカムイが明るく少々やんちゃな好青年で原作の孤独でクールなカムイとはややイメージが異なる。しかも抜け忍になった理由がさらっと描かれるのみなので原作未読の人には少々分かりにくい。

また何と言ってもCGが酷過ぎる。こんな出来の悪い状態でスクリーンに映すのはどうかしてる。ワイヤーアクションの動きが軽すぎるのもどうかと思う。カムイは生身の人間で武侠映画の人物みたいに気功を使う訳ではない。しかも前述のCGとの合成が下手すぎるせいで飯綱落としなど必殺技の再現も苦笑を禁じ得ない。さらに脚色の仕方が下手で不動の行動がおかしくなってしまった。村まるごと皆殺しにする理由はあまりない。原作では殺されるのは半兵衛の一家だけだ。

とはいえアクションシーンはなかなかのものだ。カムイが疾走するシーンが何度かあるがこのときやや前かがみに、上体を全くぶれずに走っている。これが非常に忍者らしく感じられた。また最後の浜辺での一連の戦いは香港風のアクションと日本の立ち回りがミックスされている感じで新鮮だった。 特に松山ケンイチと伊藤英明との対決は本気で興奮した。あれだけ手数が多くスピーディーな立ち回りは滅多にない。武士の殺陣とは違う、忍者同士の戦いとあってよく動く。圧巻だった。