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[コメント] 私の中のあなた(2009/米)

アナの独白から始まり、家族ひとりひとりの視点から語られる構成。一人称を用いて語るキャストに、誰一人として悪人はいない。だから、交差する思いに余計共感ができて涙が出てくる。(2009.09.17試写会レヴュー)
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







2歳の時に白血病に侵されるケイト。姉を救うために、人工授精によりドナー適性を持たされて作られた妹・アナ。娘を失いたくない母・サラ。

それぞれの視点に立って物語が進むため、その誰の立場に立っても共感が得られる構成。

アナは強要されて手術を受けるのではなく、自発的に姉を救いたいのではないか、と父・ブライアンは言う。

なるほど、そういうストーリーかと思いきや、どうやらアナは本気で両親を訴えるつもりらしい。兄・ジェシーにも借金をして何とか工面した700ドルを手にアレグサンダー弁護士事務所に入っていく。

おいおい、アナ、そんなにケイトが嫌いかい? その上ジェシーまでアナの味方なのかい? 家族真っ二つじゃないか!

・・・と冒頭から物の見事に術中にハマった。

観ていくとわかるが、家族も姉弟妹もみんな思い合っている。訴訟の一件以外は全く問題がない家族だから余計に謎が深まる。とてもよい脚本だと思った。

展開的には『余命1ヶ月の花嫁』の主人公とは違う思いを抱いて病に向き合うケイトとアナ、ジェシーの約束がストーリーのオチにつながる。

死ぬ直前まで『生きたい』と願う千恵に対し、『自分の意思で死にたい』と決意するケイト。2人の違いは『愛する人が現世に残っているか、先に死んでしまったか』の差だと思う。

白血病患者のダンスパーティに参加するケイトとテイラーはとても綺麗に撮られていて、まるで生き急ぐ二人の結婚式のようだった。父親の表情を観ているうちに何だか泣けてきた。もうそっから先はいつでも号泣スタンバイ状態。

KYな親戚連中、早く帰れよ!』と思った僕は、男だけど泣いてもいいよね、と自分にはメチャクチャ甘い。

ケイトの手作りフォトブックのページを2人でめくるサラとケイト。サラの嗚咽と共に僕も号泣。

暗くなりがちな病モノ映画が多い中で、本作は、ケイトの死によって家族がきちんと死に向き合い、皆前向きに生きてゆく結末も爽快に思えて高評価。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)伊香[*] tkcrows[*]

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