[コメント] 私の中のあなた(2009/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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2歳の時に白血病に侵されるケイト。姉を救うために、人工授精によりドナー適性を持たされて作られた妹・アナ。娘を失いたくない母・サラ。
それぞれの視点に立って物語が進むため、その誰の立場に立っても共感が得られる構成。
アナは強要されて手術を受けるのではなく、自発的に姉を救いたいのではないか、と父・ブライアンは言う。
なるほど、そういうストーリーかと思いきや、どうやらアナは本気で両親を訴えるつもりらしい。兄・ジェシーにも借金をして何とか工面した700ドルを手にアレグサンダー弁護士事務所に入っていく。
おいおい、アナ、そんなにケイトが嫌いかい? その上ジェシーまでアナの味方なのかい? 家族真っ二つじゃないか!
・・・と冒頭から物の見事に術中にハマった。
観ていくとわかるが、家族も姉弟妹もみんな思い合っている。訴訟の一件以外は全く問題がない家族だから余計に謎が深まる。とてもよい脚本だと思った。
展開的には『余命1ヶ月の花嫁』の主人公とは違う思いを抱いて病に向き合うケイトとアナ、ジェシーの約束がストーリーのオチにつながる。
死ぬ直前まで『生きたい』と願う千恵に対し、『自分の意思で死にたい』と決意するケイト。2人の違いは『愛する人が現世に残っているか、先に死んでしまったか』の差だと思う。
白血病患者のダンスパーティに参加するケイトとテイラーはとても綺麗に撮られていて、まるで生き急ぐ二人の結婚式のようだった。父親の表情を観ているうちに何だか泣けてきた。もうそっから先はいつでも号泣スタンバイ状態。
『KYな親戚連中、早く帰れよ!』と思った僕は、男だけど泣いてもいいよね、と自分にはメチャクチャ甘い。
ケイトの手作りフォトブックのページを2人でめくるサラとケイト。サラの嗚咽と共に僕も号泣。
暗くなりがちな病モノ映画が多い中で、本作は、ケイトの死によって家族がきちんと死に向き合い、皆前向きに生きてゆく結末も爽快に思えて高評価。
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