[コメント] イングロリアス・バスターズ(2009/米=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
登場人物ほとんどに良心が欠如している。 登場人物に感情移入することが困難。 出来るとしたらせいぜいショシャーナくらいである。 たまに優しさをかいまみせることがあっても、あるときには見事に行き違いする。 そのせいで、我らがショシャーナ(とも思い入れはあまりないが笑)は唖然とするくらいあっけなく死んでしまう。
この映画はナチスに対する復讐劇だけども、どんだけ、ユダヤ人のナチスへの恨みが強いんだとしても、あんたらの方も相当狂気がかってるよ。みんな狂ってる。ほとんんど良心もない。どっちもどっちだね。
頭の皮を剥ぐのはグロいけど、ギャグのように思えてくるし、地下での銃撃も唐突に始まり「え〜!、マジかよ!」の「え〜!」と思う内に瞬時に終わってしまうし、まともに見ようとすると意外性だらけの映画であるが、特に劇場でのナチスの惨殺シーンでカタルシスを感じていいのか戸惑った(ヒトラーが蜂の巣状態はすごい笑)。 スクリーンでのナチスによる惨殺の勇姿にスタンディングで歓喜するドイツ人が惨殺される姿を、私達がスクリーンに見る、と言う二重構造で、こちらもカタルシスを感じるものならば、私たちも殺されたナチスと同類になってしまうからだ。
前作デス・プルーフでのカート・ラッセルへのリベンジは爽快で健康的?!、でも、おなじ復讐劇で舞台が戦場になると同様には行かないと気付かされ、今思うとラッセルも相当可哀想である!?
良心も無く狂った登場人物達、そして綺麗ごとが一切通用しない中、そこにあるのは復讐心とそれによる狂気のみ。それを全く否定もせずに、ブラックユーモアで描ききれる潔さ!これは世界大戦なんですよ苦笑。
そんな映画を(ゲラゲラ笑い続けはしないが)、面白がれる自分ってどうなの(笑)?とは少しは思うけれども、この映画を観て笑えると言う事は、自分の内に狂気を潜めている事とイコールなのです(と思いたい!)。
笑えない人には、まあ分からないと思いますが(そもそもこんな映画見ないと思いますが苦笑、退席する人が結構いたので)これは、戦争、復讐を肯定しているわけでは全くありませんよね。
正義も悪も全く成り立たなくなる、アメリカの自己反省的な描き方は、『ダークナイト』と類似しているが、それと比べてシリアスになりすぎず、ユーモアと狂気を同居させてエンターテイメントに戦争を描く力量はさすがだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。