[コメント] パイレーツ・ロック(2009/英=独)
思ったよりも六割増しで馬鹿映画。海賊ラジオ局を舞台とする必然性に乏しい挿話群はその連携においてもちぐはぐで、キャラクタの造型には深度が認められない。馬鹿すぎて幸福感が減じてもいる。しかし何とも人のよさそうな顔ばかりが並んでいてどうにも憎めない。友情がどうのと云われて鼻白まないのもそのためだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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とりわけよい顔を挙げれば、トム・スターリッジ、クリス・オダウド、アイク・ハミルトン。こういう顔が揃っているだけで私は幸せに映画を見ることができるのだが、「労働」が描かれていないというのはつまらない。母親およびビル・ナイの真意はどうであれ、スターリッジの乗船は少なくとも表向きには更正のためなのだから、彼が船においてどんな役割を担っているか(どんな仕事をしているか)描かれないと映画の軸が弱まる。また登場するのはDJばかりで、実際に船を扱っているはずの技師がほとんど見当たらないのも胡散臭い。むしろDJが技師も兼務しているといういいかげんな設定のほうが面白かったかもしれない。スターリッジを中心に眺める限り、これはどこまでも学園/楽園の青春映画であって、この映画のよさも物足りなさもそこに尽きるように思われる。
音楽の使い方に関しては舐めというか、かなり敬意を欠いたものを感じる。当時はまだ存在していなかった楽曲が使用されている、なんていうのはどうでもよいにしても、ラジオのくせにワンコーラスさえきっちり聴かせてくれなかったり、「無法の世界」に至ってはほとんど効果音的に扱われてしまって、なんだかなあと思う。まさに船が沈まんとする最大ピンチの場面でビーチ・ボーイズ「素敵じゃないか」というのは奮っている。という気がしないでもない。
ジャニュアリー・ジョーンズはやっぱり別嬪さん。
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