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[コメント] カールじいさんの空飛ぶ家(2009/米)

+300円の楽しみ
Pino☆

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 3D日本語吹替え版鑑賞。

 ディズニーランドなど、アミューズメント施設で3D映像を観たことはあるが、3Dの劇場用映画を観たのは、これが初めてだと思う。少なくとも、映画館で、3Dの作品を観た記憶が僕には無い。

 この映画、ノーマル作品に対し、3D作品は+300円。しかも、僕が行ったシネコンでは、3D作品は日本語吹替え版しかなった。少し戸惑ったが、3D映像が観たかったので、迷わず3D作品を選んだ。結論から言うと、+300円の価値は充分にあったと思う。

 上映前、予告編で『アリス・イン・ワンダーランド』や『アバター』の映像が流れたが、やはり、3Dの欠点というか、素早い動きの映像の時に、ブレる様な感じになる現象は変わっていなかった。これは、左右の目に違う映像を見せるため、フレームレートが単純に半分になってしまうからなのだが、立体映像が見える反面、滑らかさが無くなってしまうのは、「何だかなぁ」という感じだった。

 しかし、この現象は予告編のみ。本編が始まると、そのブレる現象は全く無くなり、極めてスムーズに映像が流れる。黒っぽい偏光眼鏡をかけなければならないのは、昔と変わらないが、色がおかしくなったり、歪んだりすることは全く無く、色彩やかで滑らかな映像が楽しめた。これは、まさに最新デジタル技術の賜物だと思う。

 それと、よくある3D作品だと、キャラクターやボールなどが、自分のすぐ目の前までワザと迫ってきたりするのだが、この映画のキャラクターはそういった不自然な動きは一切しない。この辺は、ストーリーをきちんと見せたいピクサーの拘りなんだと思う。立体映像であっても、それを大袈裟に誇張することなく、あくまで表現力を高める効果の1つとして用いている。この姿勢には凄く好感が持てた。実際、違和感は全く無かった。その証拠に、最初は3D映画であることを意識していたのだが、ストーリーが進むにつれ、その世界に感情移入し、最後は3Dであることをすっかり忘れてしまう。

 3Dの技術的な話に終始してしまったが、この映画はピクサー作品の中でも、ストーリー及び表現力という点で最高傑作ではないかと思う。多くの方が述べている様に、私も最初の妻を亡くすシーンだけで、グッときてしまった。

 気になったのは、宮崎アニメへのオマージュなのか、『天空の城ラピュタ』、『風の谷のナウシカ』、『ハウルの動く城』などを彷彿させるシーンが数多く出てくること。”冒険心”と”出会いの喜び”という作品に込められたメッセージも、微妙に宮崎作品に通じるものがある。個人的には嬉しかったが、ここまでカブせる必要はあるのかな?と思わなくもなかった。

 とは言っても、ストーリーは完全なピクサーのオリジナル。難癖をつける気は全く無い。様々なアイデアに驚かされ、ストーリーに共感させられ、楽しませてくれた103分。+300円は払うだけの価値がある!

(評価:★5)

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