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[コメント] 機動戦士ガンダムUC episode1 ユニコーンの日(2010/日)

正直な話、これは古さと新しさを両方合わせた、一種の奇形作品でもある。しかし、そんな歪んだ作品を求めている人だっているのだ。少なくともここに。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 富野由悠季監督が作り上げた、日本アニメ史どころかサブカルチャーを超えて世界的に重要な作品となった「機動戦士ガンダム」。この大ヒットは今も尚続いており、定期的に“ガンダム”を冠した作品が作られ続けている。

 そして“ガンダム”を冠する作品は大きく二つに分かれる。

 一つは正統な宇宙世紀(UC)を主題とした「ガンダム」の続編(元々はこれも富野監督が作ったものだけが正統とされていたが、今や様々なクリエイターが作っている)。  もう一つはロボットは何でも良く、ただ「ガンダム」の名前を付けた作品。こちらも単純に「ガンダム」と付くだけでDVDやキャラグッズの売り上げが極端に変わるほど。  そして本シリーズは前者。正統な「機動戦士ガンダム」の続編の一本で、年代も『逆襲のシャア』の直後という時代に焦点を当てて書き上げた小説を元にしている。

 著者の福井晴敏は先に「∀ガンダム」の小説版を描き「富野本人よりも“皆殺しの富野”してる」と好評を博した人物(褒め言葉に聞こえないけど)。それが宇宙世紀ものを描くと言うことで前評判も高く、小説版は好評のうちに幕を迎えている。

 そして出来た作品は、かつてのオリジナル版「機動戦士ガンダム」を知り、夢中になった世代のために作られたような作品に仕上げられた。

 明らかに作り手の側から“俺はガンダム世代だ”という叫びが聞こえてきそうな作りは、私自身が“ガンダム世代”のまっただ中にいるだけにはっきり言って大好物(何せ未だ頭の中は80年代だと友人にも言われ続けてる)。高度に進化した演出力も、MS同士の戦いを、狙って泥臭く、ノスタルジアを感じさせるものに仕上げられており、まさしく新世紀の“ガンダム”とは一線を画す、ガンダム世代に喜ばれる作品になってる。

 演出上、どうしてもガンダムを出さねばならないという制約があるため、もの凄く圧縮というか、駆け足過ぎた物語展開(2巻分を1時間弱でやってしまった訳だから)だったが、充分満足できたので、これで良し。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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