映画の登場人物たちとともに、観客も15年という年月を重ね、そしていま、こんな素敵な続編を迎える…多くの昔子どもだった大人たちが、感無量の気持ちでこの映画を見たのではないだろうか。なんと幸せな映画だろう。（残念ながら、私は１、２をリアルタイムでは観られなかった。）

１から２、２から３へと、少しずつ冒険の規模は大きくなるものの、“地球を救う”とか“宇宙へ飛び出す”とかいう突飛な冒険はさせず、あくまでも彼らの行動範囲のなかで最大限の冒険をさせる。このシリーズのなかで徹底してきたことだ。だから、リアリティを持って物語を迎えられる。ゆえに、より、胸に迫ってくるものがある。

映画の中の溶鉱炉のシーン、抗えない死を前にしたとき、彼らは自然に、静かに、手と手を握り合った。私はあのシーンが一番好きだ。ともに幸せを分かち合ってきたからこそ生まれるシーンだ。そんな彼らの関係性をこれまで丁寧に創造してきてくれた制作者たちに、あらためてありがとうといいたい。

……ひとつだけちょっぴり残念に思ったのは、できればもう少しだけ、日本生まれのおもちゃ代表、トトロの活躍が観てみたかった。