[コメント] さんかく(2010/日)
現実に起きたエピソードを拾って映画の中にちりばめた、と監督は言うが、だからといってリアリズムが生まれるわけではない。瑞々しい会話、艶かしい少女、美しいラストカットも、脚本の致命的な欠陥がすべて帳消しにしてしまう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画の感想に労力を費やす気はないので、どうしても指摘したい一点だけ。田畑智子と小野恵令奈が姉妹に見えない。そこに必ずあるはずの女と女の嫉妬心から目を背けている。
男と同棲しているアパートに年頃の妹を泊まりにこさせるという神経がわからない。それぞれ別々に一人暮らしをしているというなら理解できるし、いっそ結婚しているという設定でもよい。だが作者は、その結果生じるであろういくつかの煩わしさを嫌ってか、あのような状況を仕立ててしまった。
小野が帰ってから高岡が冷たくなったのなら、それは小野への浮気心に決まっているではないか。田畑は、高岡と小野の間に通う空気を読むこともできず、事後にこの二人の関係を推理するという知恵もない女だ。だから付きまといや自傷行為をはたらくという論理なのだろう。だが、映画は、心の弱い人物を弱い筆致で描いてはならない。描写の手綱は弛めてはならない。監督は、観客から同情を買うことだけは、厳に慎むべきである。
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