[コメント] ナイト&デイ(2010/米)
絶え絶えの意識の間に大活劇がありその間の描写は省略されているという設定、面白くないわけではないが、省略を映画の本質として縦横無尽に駆使した山中貞雄と比較すれば児戯レベル。しかしこの省略が姑息な隠蔽レベルにまで堕落しているのではないことは明言しておく。
それどころか省略が豊かな余韻を生み出すことすらジェームズ・マンゴールドはやってのけている。それは、二度目の気絶のあと、キャメロン・ディアスがトム・クルーズによってビキニに着せ替えられたことを知って怒り出すシーンがあるが、こうした省略された事実が、くだけたユーモアを映画に導いただだけでなく、このあとのトム・クルーズとの心理的距離の変化を生み出ていく伏線にすらなっておりこの手並みが悪くない。さらには、この着せ替えはキャメロン・ディアスにとって実は2度目であるにもかかわらず、1回目の着せ替え(飛行機のエピソードの後の起床シーン)は不問にしているという不思議な女心の内側まで見せてしまっていて、この女主人公のリアリティはなかなかのものである。
気絶という古風な行為を今時の女優に演じさせる余裕が好きだ。
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