[コメント] SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010/日)
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「デスラーがこんな風になっちゃったか。」などとは思ったものの、アニメをリアルタイムで見ていなかったのであまり気にはならなかった。
キムタクがいつものキムタクなのも許容範囲。イスカンダルにとりつかれた黒木メイサの神々しさは、これだけでこの配役でよかったのだと思わされる。プリンターのCMでも役所広司を惑わせてたけど、この人は「脱がなくても凄い」んだな。
ただ主演二人をまさにアニメに描いたような二枚目にしたのはわかるが、他の乗組員たちがあまり強そうに見えなかったのは気になった。誰かが「親父にもぶたれたことないのに!」と言い出すんじゃないかと冷や冷やしながら見ていた。
クライマックスは時間を掛けすぎ。あんなに話している間に、攻撃されちゃうよ。「どうすればいいんだ?考えろ、考えろ……」って考えなくても結論は出るでしょ。巨大隕石を破壊するために自らを犠牲にしたオヤジが、そんなに迷ってたか?エイリアンの巨大円盤に特攻を仕掛けたオヤジだって、即刻、決断を下したぞ。いや、イスカンダル星での、柳葉敏郎や池内博之だってそうだったじゃないか。
やっぱり山崎監督という人は、「大人向けの童話作家」の人なんだな。『リターナー』の金城武もそうだけど、「男として惚れる」キャラクターではないのだ。それが悪いと言うんじゃない。『ジュブナイル』なんか好きだ。ただ今回はもうちょっと「戦う男、燃えるロマン」な映画にしてほしかった。そう思うと、「もし、ジョン・ウーが監督してたら?」などと考えてしまう私であった。
もしそうだったら、デスラーにとりつかれた池内博之は、キムタクと手が届きそうなほどの至近距離で向かい合って、二人が同時に銃をかまえる、なんてことになってただろうね。さらに黒木メイサも池内博之に銃を向けて、しかし、柳葉敏郎はお前ら銃をおろせと二丁拳銃を構えて、となっていたはず。そして、もちろん、ヤマトの中には、猫だけでなく、白い鳩が飼われているのであった。
それから「あと○○日」というのは残した方がよかったんじゃないかな。タイムリミットの緊張感のためというより、宇宙を何十日も長旅したという感じを出せたと思う。ワープも見せ場のはずなのにあまり盛り上がらなくて、唯一キムタクがメイサを押し倒すあのスローモーションだけが美しい。全部のワープをあのスローモーションでやってもよかったんじゃないだろうか。
何だかんだ言いましたが、楽しめました。VFXを駆使した宇宙戦争の映像は見事。やっぱり山崎監督には、『三丁目の夕日』よりもSF映画の世界で活躍してほしい。
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