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[コメント] ブロンド少女は過激に美しく(2009/ポルトガル=スペイン=仏)

唐突とも思える終わりかたに、あーやっぱりくえない監督、健在だなあと嬉しくなった。くえないくせに、わりと長めに挟まれるポルトガルの夕景とか、そんなギャップにちょっとやられる。
なつめ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あのラストシーン(大股びらき)がすべての種明かしとシンプルに思っていいのだろうか。反面、この映画がそのようにわかりやすく伝えてくれると素直に信じていいのか、疑いも抱いてしまうのだけど。

数回出てくる盗みの(物がなくなる)場面。効いていると思ったのが、彼女が登場しない場面で帽子の紛失があること。彼女とは物理的には関係ないにもかかわらず、「彼女と関わると不運・不幸なことが起きるのでは」という精神的なイメージがこの場面で私に芽生えた。だから、宝石店で彼女一人指輪のところに残されたとき、いよいよ何か決定的なことが起こるのではないかという不安でドキドキした。

あんなに大変な思いをして仕事をして、すべてを失ってもまた仕事をしようとしたくらい彼女のことを思っていたのに、あの事件で「消えろ」という強い言葉を吐くくらいの嫌悪感を示したマカリオ。盗みはもちろん最悪だけれども、決定的に育ちが違うのだなと思った瞬間だった。彼の怒りは、見抜けなかった自分自身へも向いていたのだろうと思った。

また、宝石店を出たときに彼女は「ぶたないで」と言っていた。「ぶつ」などという行為が良家で行われるとは思えないので、「ぶたないで」という発言自体がに違和感を感じる。

あと、キスシーンのときの右足上げ。あれはいったい?

以上、ラストシーンも含めていろいろ総合すると、やっぱり「良家の出身」というのがそもそも怪しかったのではないかと想像する。思えば、彼女を知っていて紹介してくれた友人も良家の出身ではあると言いつつ、「よくは知らない」と言っていたのだ。

そんな結論でふりかえってみると、あの中国風の扇子が安っぽく、高級な場面で浮いていたことが印象として浮かんでくる。

あー、おもしろかった。

(評価:★5)

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