[コメント] ようこそ、アムステルダム国立美術館へ(2008/オランダ)
いやあ、しかし、オランダ人というのは皆さんこんなにもすばらしい顔の持ち主ばかりなのだろうか。ちゃんとオーディションを開催して出演者を選んだのではないかしらと訝ってしまうほど、登場人物はほぼ全員が映画俳優顔負けなほど立派に画面映えする顔で、まったく壮観だ。私なんかは彼らの顔に浮かぶ悲喜こもごもを眺めているだけで満足してしまう。ちょっと強引だけれども、試みに全体的な雰囲気と顔パーツの相似から彼らを俳優に例えてみると、まず六尺四寸は優にありそうな堂々たる体躯の館長ロナウド・デ・レーウ氏はリー・マーヴィン。外野の要求にきりきり振り回されてひときわ気の毒な建築家コンビのひとりアントニオ・オルティス氏はジョン・タトゥーロ。金剛力士像にぞっこんというところからもとりわけ親近感を誘われるアジア部門の学芸員メンノ・フィツキ氏はクリストファー・ウォーケン。飄々とした振舞いからも知性とユーモアと仕事への情熱が滲みでて好印象な改築プロジェクト・リーダーのバルト・ヴァン・デル・ポート氏はハーポ・マルクスもしくはピーター・フォーク。鋭い目つきと大きな手にプロフェッショナリズムが溢れて「美術館は俺の子供だ」と豪語する警備員のレオ・ヴァン・ヘルヴェルン氏はスティーヴン・ラング。
また、画面的な見どころとしてはやはりアヴァン・タイトル部が筆頭に挙げられるだろう。暗闇のうちに展開する破壊と廃墟の風景。瓦礫の落下。穿たれた穴から差し込む光。画面外部で蠢き響くドリル音。精密な画調・カメラ位置選択による絵画性については遠く及ばないにしても、その志向はほとんど『ヴァンダの部屋』と変わらない。
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