[コメント] 現代やくざ 人斬り与太(1972/日)
菅原文太の魅力を十二分に活かせるキャラクター。やっぱりこの人には「直情激情型おセンチヤクザ」がよく似合う。
いつも思うんですけど、菅原文太のキャラクターって、ともするとスゴく重たくなりかねない危険性があるんですよね。他のヤクザ俳優たちのような、遊びというか気の抜けた部分がないから。だからこの人が「狡猾な人物」を演じると、ものスゴく計算高い氷のような人物になってしまうんです。そのため、僕はこの人が「どこかに抜けのある役柄」、特に「本当は計算が嫌いでメソメソした、真っ直ぐな人物」を演じている時が好きで、『仁義なき戦い』の広能なんて正にその真骨頂だと思っているわけです。
今作はその文太の文太的なゴツゴツした魅力が全開で、文太が頑固であればあるほど、バカであればあるほど愛せるように出来上がっています。このゴツゴツ感はやっぱり深作欣二との相性もあるんだろうなぁ。岩のように頑迷な映像とストーリーだからこそ、「母の死」や「崩れてしまったおにぎり」のようなセンチメンタルなエピソードが際立つんですよね。そしてそのエピソードがあるから、バカで頑固な文太が愛せるようになってくる。
考えてみれば、遊びがなくてもいいというのは主演級スターの証といえるのかも知れません。真っ直ぐな姿そのままでスクリーンに映る文太は、確かに他の出演陣とは一線を画しているように見えます。脚本と演出とスターの魅力が、綺麗に噛み合った一本だと思いました。あと渚まゆみがどうしてもローリー寺西に見えて困った。
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