[コメント] 機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星(2010/日)
戦闘ロボットアニメの頂点を極めた、と言っても言い過ぎでないエピソード1に比較すれば、目くるめく光線の軌跡の乱舞を期待し過ぎるのは残酷だろう。それよりは、幾度となく甦るジオン軍残党が宇宙移民たちにどう思われているかを知れば、連綿と続くこの戦争の意味がおのずと判るところに、この物語の核が見出される。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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今回の話ではジオンは国家ですらなく、その旗のもとに糾合されたただのテロリスト集団としか看做されていない。それでも彼らが立ち上がることを止めないのは、思想犯や少数民族などの邪魔者を祖とする宇宙移民が、彼らに連邦政府の圧政を覆す英雄の姿を見、声援をおくるからに他ならない。
そして、フロンタルというネオジオン残党の首魁は、おそらくは敗北し死んだかに見えたシャアその人なのだろう。純粋すぎるがゆえに死に場所を見失ったかつての英雄のなり損ないは、今も道化役を続けている。彼の仮面はもはや意味がないゆえに、それを被り続ける姿は哀れである。
彼のもとに集まった若き士官たちも、連邦軍の兵士たちに家族を殺され、自らも繰り返し犯された少年だったり、あるいは娼館に売り飛ばされて女性機能を失った少女だったりする。もういいじゃないかと思うくらい悲惨である。
ここまで悲惨な敵が俺は大好きである。もうやれるだけやってくれと言わずにはいられない。
原作者によればシャアはマザコンでナルシストで、反面教師にすべき男なんだそうだ。何を言っておるのか。好きでそうなったワケでもない男をつかまえて。ガンダムは「連邦の白い悪魔」とスペースノイドには呼ばれていた理由が判るような気がする。
これは苛められっ子たちの映画だ、そんな気がする。だからいつまでも支持されるのだ。だから皆こんなにも情熱を傾けるのだ。
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