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[コメント] デイブレイカー(2009/豪=米)

えげつない描写にはちょっと辟易するが、基本となるアイディアを丁寧に仕上げて一つの世界をつくり上げていく手法には好感が持てる。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







人間の生き血を飲む、不老不死になる、咬まれたものは吸血鬼になる、日光にあたると燃え上がって死ぬ、という特性をバンパイア・ウィルスによる感染としつつも、「鏡には姿が映らない」という古典的な吸血鬼の特性をさらりと入れて、なんだかんだ言っても、吸血鬼映画の正統を受け継いでいる姿勢は好ましい。

見方によってはゾンビ映画にも似ているが、こちらの方は吸血鬼になっても、人間の血液を充分摂取している間は、知性的・文明的な社会を構成する、というのも正統派吸血鬼の映画と言える。

そしてその吸血鬼が圧倒的な多数というか、不老不死を求めて人間が自ら進んで吸血鬼になり、肝心の血液を提供する人間が絶滅寸前になったらどうなるのか?というアイディアは面白いし、それを妙に捻じ曲げることなくSF仕立てで映画にしたのは面白い。

それにラストは、ちょっと意表をついた展開というか、ウィレム・デフォーがいきなり血を吸われたシーンでなんとなくオチは読めたが、その後のすさまじい血と肉の饗宴にはいささかびっくり。

これでこの映画は収拾がつくのだろうかと思ったら、最後は3人が旅立って終わり、となんだか絶望への門出のようにも見えて興味深かった。

ただ、イーサン・ホークが社長に自分の血を吸わせようとしたところでは、ひょっとして単に人間に戻るのではなく、吸血鬼から人間に戻ったものの血を吸った吸血鬼は、その人間の奴隷のようになり言うがままに従う、という展開もあるかな、と思った。

そうなったらそうなったで、今度はウィレム・デフォーが吸血鬼社会の絶対的な支配者として君臨する野望を抱く、というのが何となく彼のキャラにあっているような気がしないでもなかった。

(評価:★4)

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