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[コメント] 浮雲(1955/日)

やはり映画館で見た温泉シーンは生唾を飲み込みました。多分ほかの観客も同じだったと思います。
chokobo

温泉シーンのみならず、全編緊張感溢れるシーンの連続である。原作もさることながら、この名優対決に息を止めるがごとき思いである。

横道にそれるが日本映画のこの充実した時代と才能ある名監督達の映像フィルムをもっともっと共有することはできないものだろうか。勿論、今やビデオ、DVDといったプライベートなソフトは充実している。しかし、「勝手に家でご覧なさい」というなかれ、やはり映画館で、あの暗い部屋の明るいスクリーンで同じ方向を向いて多くの観客とこの緊張感を共有できないものか。映画はやはり一人で見るものではないと思う。少年、少女がかような映画を見ることが良いとは言えぬが、仮にこれを年端もゆかぬ少年が映画館で見ることでもあれば、自分知らずとも、他の観客は無言の中で少年に教えてくれる。

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再見しました。

林芙美子原作ものは、成瀬巳喜男監督でないと映画として成立しませんね。

あらためてその迫力に圧倒されました。

林芙美子でいうと最も有名な『放浪記』ですら、彼女の人生からすると小さなものでしかありません。実話とも受け取れる物語性は、観る側に強い圧力をかけてきますよね。

この映画も林芙美子っぽさが際立つつくりになっているわけですが、彼女の姿勢とは女性を被害者として位置づけ、男性のどうしようもない姿を鮮明に残しますね。

みていてつらくなる映画ですが、恐ろしいほどの現実感が映画であることを忘れさせてしまいます。

2010/07/15 自宅

(評価:★5)

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