[コメント] アリス・クリードの失踪(2009/英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
確かにこの題名のとおり、結果だけ見れば、「誘拐」ではなく「失踪」。
女が金を獲得し誘拐犯が死んだだけ、結局観終わったあとに妙に納得してしまった。
淡々と無言で進められる冒頭の犯罪準備シーンは特筆もの。 言葉が発せられるまで、見入ってしまった。そこでずっとセリフが無かったことに気づく。そういえば冒頭に引き込まれるような感覚は松たか子主演の『告白』で味わった。否が応にも期待感は高まるが、細部が粗く出来はもう一歩。
出演している3人は素晴らしい演技。
登場人物を限定したことにより、各人への感情移入というか人物の理解は捗るが、警察など追っ手から逃げ隠れする緊張感がない。仮に、ほとんどのシーンが1つの部屋で撮影され先の読めないストーリーの秀逸さに緊張感の無さが気にならなかったとしても、演出部分でも緊張感のない部分が目立つ。 痛恨だったのは、逃げようとする女が男の服の中にある鍵の束をわざわざその場で探したところだ。どう考えても、服を男から引き離してから鍵の束を探すはずだが。 静かそうな部屋であるのに「普通に男の名前を序盤から連呼しているシーン」、「薬莢が音を立てて流れるシーン(そもそもそんな必死に薬莢を隠す必要があったのか?)」・・・、こういった場面のおかげで緊張感が一気に吹き飛んでしまった。
結局3人にこだわりすぎたのか、携帯電話で警察に助けを求めたのに、何の音沙汰もなく、最後にヴィックにバレる要因を作っただけ。
他がよく出来ているだけにこういう部分が逆に目立ってしまったのだろう。 3人にこだわりすぎたのか、その部分での無理も多い。やり方次第で傑作に成り得ただけに残念でならない。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。