[コメント] イップ・マン 序章(2008/香港)
1930年代の佛山。糸の切れた凧がゆらゆらと飛ぶカットを繋ぐ。美しいカメラだ。このシリーズ第一作の敵は、他流試合を挑む強盗団のような男たちもいるけれど、主には日本軍だ。
副官の佐藤、渋谷天馬は大佐か(大佐に見えないが)。であれば、三浦、池内博之は少将ということか。日本軍の道場で、ボコボコにされる人たち。イップマンが道場へ行き、日本兵10人と対戦するシーンは、怒りの鉄拳という様相がよく出ている。イップマンの、いつも穏やかで優しい、驕らない人柄との対比。それは、通訳の男に、裏切り者!と罵倒する場面でも感じる。
日本軍人では、渋谷天馬は徹底して極悪非道の悪役として描かれるが、池内は、イップマンを銃殺しようとする渋谷を止めるし、中国拳法を日本軍に教えてくれないかと申し出たり、あるいは、拘留されているイップマンに食事を持ってきたりする。この辺りは、度量の大きい敵役の造型で、最後の闘いに期待を持たせる方策だと思う。
そして、最後の闘いだが、池内もなかなか迫力はあるが、善戦とも云えないレベルなのだ。けっこうすぐに、勝敗は見える。逆に云うとイップ・マンが強すぎる描き方で、いつものことなのだが、ちょっと残念だ。さらに、試合後の混乱の描写で、小さなズーミングのカット(イップマンの妻子などへの)が使われるのも、全編中ズーミングはこゝだけなので、不統一に思えてしまう。
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