[コメント] スタンド・バイ・ミー(1986/米)
冒険は、日常にあり、特別なものだけではない。けれど、この映画の中の優しさに心惹かれる。
小学校、初めて自転車で遠くの友達の家に遊びに行った。小学校より先の友達の家に行くのは、初めての経験だった。
「車には気を付けて」と何度も祖母に言われながら出発し、祖母は姿が見えなくなるまで見送ってくれた。
行きは下り道でもあり、難なく到着し、自分が一つ大人になったような気がしていた。
ところが、帰り道(そんな仰々しいものではないのだけど)事件が起こった。
大きなダンプカーが近づいた時、丁度曲がろうとした私は、当時習ったばかりの手信号を出したのだ。途端、ダンプがものすごい音をたてて急停止し、恐面の運転手が顔を出した! 「こらーーー!危ないだろーーーがーーー!!!」
とにかく無性に恐かった。 「なんで?なんで?先生に言われた通りしたのに…。」 それまで他人に叱られた事のない私は、恐くて恐くて涙が込み上げてきた。
行きはあんなに楽勝だった道が果てしなく遠い。
風まで向かい風に思えてくる。ペダルが重くて、重くて。家が見えた時の脱力感と安心感。
しかし、家族には、その事は言わなかった。恥ずかしいのと、口に出すのも恐いくらいの恐怖心と、もう行っては駄目と言われるかもしれないという思いとで。
多分、私が急に手を差し出したので、運転手の方が驚かれたのだと思う。
あの道を通るたび、その事を思い出す。他人から見れば面白くも何ともない出来事だが、私にとっては大きな冒険だった。
人は、そんな些細な冒険を繰り返しながら大人になって行くのだろう。
注意:手信号は、時と場合によって使いましょう!!!
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