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[コメント] 終着駅(1953/伊=米)

72分の爆弾。
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★4・5

70分前後の作品で「終着駅」の濃厚さを凌駕する映画はないだろう。

超超超巧い。久々に感激した。何に感激したかって、この作品の見せ方の巧さ。局所的にではない、総合的に極めてレベルが高いのだ(強いていえば終盤の時間を絡めた演出か)。仮に凡庸な監督が同じストーリーで「終着駅」を作ったとしたら、長く冗漫な作品に陥ったはずだ(*)。特に奇抜なテクニックを駆使しているわけではない、ごくスタンダードな映画だ。しかし、ぐいぐい引き込まれた。本作はきっと5時間ぐらいある映画のクライマックスの部分、そう思えるほどだ。この濃厚さは爆弾だべ。

(*)奇抜で独創的な手法を用いない、スタンダードな映画という土俵は換言すれば‐《特に大したことのない話》をどこまで面白く観客に見せるか選手権‐なのだ。そのような局面に於いて、監督の能力は如実に反映されると思う。

ローレン/マストロヤンニの魅力に依存せずともデ・シーカはここまでの作品を作れるのだ! 前に『自転車泥棒』、後に『ひまわり』や『昨日・今日・明日』と歴史に刻まれた作品があるデ・シーカだが、この一本だけでも十分、充分巨匠と呼べるだろう。今日は彼に平伏した一日だった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)HW[*] ゑぎ けにろん[*] tredair[*]

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