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[コメント] みんな元気(1990/仏=伊)

いい話ではある。しかし,この作品を『ニュー・シネマ・パラダイス』の次に発表してしまったという失敗と,日本にはすでに同じテーマの傑作『東京物語』があったという不運が,この作品の評価を必要以上に低くしているかもしれない。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







−以下,「東京物語」(小津安二郎)のややネタバレもありますので,ご注意ください。−

この作品を観て,小津の『東京物語』は偉大だと改めて感じた。

東京物語』では,子供たちが訊ねてきた両親を気にはかけるものの,自分たちの今の生活に追われ,ついつい疎んじてしまうという葛藤が自然に描かれていたと思う。朴訥な父親と温かそうな母親だったがゆえに,2人がだんだん邪険に扱われていく姿はとても残酷であり,親子や家族について大いに考えさせられた。そして皮肉にも,もっとも心底から両親のことを案じてくれていたのが実の子ではなく,長男の嫁だったという設定も印象的だった。

ところが,この作品では,子供たちが父親(マルチェロ・マストロヤンニ)のことをどう思っているのかさえ,よくわからない。父親の行く先々で子供たちが嘘をついてごまかす姿は,単に父親を安心させるためというようにも見えず,この父親が子供たちから愛されているようにも感じられず,「子供たちは大きくなったらみな家を出て行ってしまい,両親に冷たかった」という実に平板な話にさえ見えた。

(評価:★2)

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