[コメント] J・エドガー(2011/米)
題材と監督のミスマッチ感。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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15年ほど昔の夏、女の尻も追いかけず、湘南の砂浜に寝っ転がって権力者エドガー・フーヴァーの伝記を貪るように読んでいた自分には、全然物足りない映画だった。クリント・イーストウッドの演出力は間違いないのだけど、老いたJ.E.H.の描写に軸足を置き、なおかつあのように同性愛を描くのであれば、レオナルド・ディカプリオよりもフィリップ・シーモア・ホフマンに演らせた方が良かったと思う。また、強大な権力者としてのエドガー・フーヴァーの実像に迫るなら、無頼派のクリント・イーストウッドより、皮肉屋のオリヴァー・ストーンが監督した方がはるかに面白いものになっただろう。ただし、ニクソンで大きくコケてしまったストーンは、たぶんもうブッシュみたいな風刺劇しか撮らしてもらえない訳だが。まあ、そもそもLibertarianのクリント・イーストウッドが国家中枢の権力者を肯定的に描くこと自体に無理があったと思う。法からの逸脱にしても、『ダーティーハリー』的なポジションから宣言されるものでなければ、今話題の朝ドラのように、女社長が金の力でイケメンを囲うのと同じで、観ていて面白くないわなあ。ということで、最近のイーストウッド作品の中でのマイ評価としては、『ヒア アフター』>『グラン・トリノ』>『ミリオンダラー・ベイビー』>『インビクタス』>硫黄島二部作>『チェンジリング』>本作…という感じでした。
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