[コメント] ドラゴン・タトゥーの女(2011/米=スウェーデン=英=独)
ひたすら面白くてワクワクする間がないという感じ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本格ミステリ的な舞台、いわくありげな一族、聖書を引用した猟奇殺人、性的虐待、トラウマを抱えるハッカー、とこれだけ盛ってるのにあまり陳腐な感じがしないのは、それらの素材をいまさらバキバキに描かないことと、テンポの良さで物語に見入ってしまうことによると思う。物語もとびぬけて面白いというほどでもないし、やはりこれはテンポなのだろう。
が、期待が高まっていくような間だったり、せっかくの冬のスウェーデンの田舎町の情緒だったり、偏執的な画だったりというテンポを阻害しかねないものがはぶかれて、作品を支配する(特徴づける)ような濃密な雰囲気みたいなものがない。『セブン』はむしろそれだけだし、『ファイト・クラブ』や『ゾディアック』なんかはまだそれがあって、それがやっぱり作品の魅力なのだと思う。けっこう冗長な場面というものこそが大事なのかも知れない。たとえば、リズベットが会社の資料室にこもって社史などを読みふける場面のようなところや、マルティンの車が横転して炎上するのが町の(おそらく)唯一のスーパーの前で、それが「登場人物たちがよく通っていたあのスーパー」と感慨がわくくらいに尺をとって田舎町を描きこめれば、もっとこの作品の空気が描かれて行くように思う。
今回はテンポを生かすバランスをとって、広く一般的に受け入れやすい方向にまとめたという狙いがあって、その狙いどおりに完璧に作ったというような出来でその技術に感心した。
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