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[コメント] 捜査官X(2011/香港=中国)

エンドロールのオドロオドロしい音楽といい、何だかよく判らないゴッタ煮の映画。それが佳い。☆4.2点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
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そもそも何時の時代のどこの話か日本人の私にはよく判らん感じで進行する。設定は或る種『スリーピー・ホロウ』的ではあるのだが、主人公2人体制の金城 武ドニー=イェンの雰囲気が余りにも噛み合ってないので、筋としては理解していても話がちっとも落ち着かない。しまいにはとんでもない修羅場へ発展。いや、ドニー=イェンなのだから当たり前なのだが、金城の存在が話をこんがらがらせている。そしてアボーンして終了。何なんだ感たっぷりの怪作であった。

そもそも題名がおかしい。邦題の『捜査官X』が 『MAD探偵:7人の容疑者』みたいでヘン。いや金城パートはまさにそういう感じなのだが、何せ勝手につけた邦題だからヘンな感じが倍増する。そして原題の『武侠』だって相当おかしい。こういうのって武侠映画か? 何か監督のピーター=チャン自身の壊れっぷりが凄まじい映画だった。そこに2人の主人公がガップリ噛みついているのだから面白い。

金城 武は私は好きでK-20といい諸葛亮といいこうした超常的な人物を今後もどんどん演じてもらいたいが、この映画で唸ったのはドニー=イェンの方。猫被っている時の彼の存在感の無い表情と正体を現した時のそれの豹変振りには感嘆した。武術だけでなく、このヒト上手いです。奥さんのタン=ウェイも、日本人の同じような顔立ちの女優なら絶対に無理だろうな、という名演だった(いや、満島ひかりなら可能か)。

内容で気に入ったのは、金城が思い浮かぶ3人の容疑者が全部ハズレである事、七十二地刹のムチャ振り、教主様の「北斗の拳」級のマッドパワー振り。特に非力な金城が必死に闘いに介入(助太刀)してチクリチクリしているのに(そしてそれがハズレてないような描写があるのに)、結果として全然効いてないという表現が素晴らしかった。最後には「更にもうひと鍼」と金城が冷静にブッ刺した鍼が、鍼としての効果でなく避雷針として教主様を撃破するどんでん返しが最高。ここはひょっとしたら金城がそこまで読んでいた、という筋なのかも知れないが、そうでないと解釈した方が面白い。

監督の狂気・遊び具合・映画の完成度・アクションのレベル・演技、全て兼ね備えている見事な映画です。しかしよく判らん感が☆5点を許さない所も、また良い。

(評価:★4)

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