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[コメント] アンダー・コントロール(2011/独)

ドイツ原発、前半の完璧な安全管理ですという自信満々の報告と、後半の廃炉推進の地味な報告。転換点はチェルノブイリ事故だが、原因は他国だろうが関係ないのだった。カルカーのシュールな空中ブランコ付。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前半はドイツの原発の安全対策が詳述される。「川、教会跡の広大な大地、好意的な地域という3条件が揃って建設されたグローンデ発電所。25年経っても最先端施設。コンクリ壁厚さ8m。4重のバックアップ施策。驚異的なのがテロ対策の発煙装置で、非常時に高さ300mの煙で10分間、設備は目隠しされる由。日本の原発の対策は世界一だとか云うが、こんなものは見たことない。

エッセン発電所。「人は自動車運転で1時間に10回ミスをする」とコンピューター制御の重要性が語られる。安全ロックは機械が判断する、ミスすれば起動しない。機械は起こりうる事故をシュミレートし、職員はそれを検討する。ウォーターハンマー現象というのが再現される。スリーマイルとビブリスに共通した現象の由。緊急停止に制御室で職員がガンガン対応している。

ツウェツテントル発電所。運転開始直前に住民投票で反対多数になり、技術センターになった。グンドレミンゲン発電所。管理区域、休止中。イエローの下着、作業着、メット。ランドリー、乾燥機。関門で測定。IAEA。1600の事件記録。査察実施。危機調査委員会。相談役であり取り締まり機関ではないと語られる。廃棄物貯蔵施設。エレベーターの下降をとても長い時間、リアルタイムで記録する。廃水汚水をコンクリ固化、汚染物質もコンクリ詰め。ジープで移動するばかデカい施設。

調査センター。57年から。発電所の開発と解体も請け負う。ミュンヘン工科大研究用原子炉。マリー・キューリー通り、シュレンディガー通り。50〜60年代、昔は希望があった。「原子力の平和利用」がモットーだった。70〜80年代、政治的排除が起こった。「憤りを感じる」と語る。原発は一度作ったらそれでやっていくしかない。

カルカー高速増殖炉発電所。チェルノブイリにより、大臣の停止命令で廃止、一度も運転しなかった。80億マルクかけて、25年間に5千人が働いた。案内者はこう語りながら諦念を隠さない。円形冷却塔内で上下する遊園地アトラクションの空中ブランコが子供たちを乗せている。最上昇すると子供たちは塔の上に出る。極めてシュールな光景。ミュデンダール発電所。廃墟、解体中。重機は日本製のCAT。66年発電開始、77年に水蒸気漏れを起こし、83年から解体中。汚染物質処理場に転用される。原子炉は半減期待ち。

映画は最後に管理室での非常時点灯、ブザーが鳴り響くギミックで終えられる。廃炉は必要な事業だが、悔しがる推進者がいることを忘れてはならない、という感想を持った。

(評価:★4)

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