[コメント] スノーホワイト(2012/米)
演出が人格を彫り込んで作中人物の魅力を起ち上げた例は無で、唯一シャーリーズ・セロンが自身の個人技でそれを為しかけているに過ぎない。成長期を牢で過ごしたはずのクリステン・スチュワートが全力疾走や下水口への滑り込みを易々と決めるのは痛快だ。獄中での鍛練を暗示して、ヒロインにふさわしい。
ひとかたならぬ撮影の美しさを誇る水辺の集落のシーンを中心に、逆光の用法と炎の造型は全篇を通じて一級品だ。日本ではいまだ表記も定まらない撮監グレッグ・フレイザー(グレイグ・フレイザー)だが、自然光を扱う技術にかけてはすでに世界トップクラスではないか。とブチ上げても、『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』および『モールス』も併せて考えるならば、必ずしも先走った評価ではないはずだ。ポスト・プロダクション班との協働も上々にこなしており、今後の出世がいっそう期待できる。
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