金田一耕助シリーズ第３作｡

役者の演技や事件の謎解き部分は悪くない｡ただ､よくよく考えると金田一の行動は戦友の依頼を考えると､どうにも筋違いな気がする｡そもそも依頼が｢島に戻らなければ妹たちが殺される｣という重大な遺言を残した男の遺書を遺族まで届けることなら､本来は殺されるかも知れない三姉妹を守ることが先決なのに､金田一はそのことを身内に告げないどころか､なぜか三姉妹を殺した犯人探しの推理に没頭してしまう｡

二人目が殺されるまでの展開はまだ納得できたが､警察の誤解が解けた段階なら､最後の月夜殺しぐらいは阻止出来たのではないかという気がする｡しかも既に二人も殺されているのに､月夜に警備につけないどころか一人だけにし､鈴の音が聞こえている間は安心だと考える警察も不自然｡

原作があっての映画化だが､この作品の場合､他の推理小説の映画化よりも設定や展開に無理がありすぎる気がする｡