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[コメント] 女王蜂(1977/日)

例によって美しい日本のロケーションの元、一族にまつわる過去や、次々と起こる殺人事件。市川監督の金田一シリーズ・ファンにとっては豪華キャスティングも嬉しい満足な仕上がりになっている。犯人は解りやすいけど…。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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キャスティングが豪華で、それぞれにストーリーが絡んで錯綜する分、石坂扮する金田一の出番が意外に少なかったりする。本作デビューのヒロイン中井をもっと溌剌と健康的に描いていたら、周囲とのギャップで作品全体に深みを与えられていたのに…と思うと残念!(テニスしたり乗馬させてる辺りの演出は良いのにな)。彼女を囲むベテラン勢は流石の演技力で、華族の未亡人を演じた高峰三枝子は持って生まれた品位とオーラを放つ存在感で他を圧倒。家庭教師を演じた岸恵子は器用に立ち回りミステリアスさを充分に印象づける。仲代達矢は表情の変化に乏しく思わせぶりすぎて、その辺がトラウマは感じさせるものの微妙ではある。怪しいマテリアルも大放出で、寄木細工の部屋、開かずの唐の間、時計塔、赤い毛糸玉、蝙蝠のフィルム、壊れた月琴、切り張りの手紙、青酸カリ付きの茶筅、フラッシュバックの馬などなど観ている者をワクワクさせるシーン続出。メインストーリーの怪しく複雑な人物たちとは裏腹に呑気な三木のり平坂口良子伴淳三郎らの演出も嬉しい。しかし犯人解明後の湿っぽい解説シーンは蛇足かも。中井が一連の経緯を知り、実父よりも仲代に共鳴するのも、理由はどうあれ大量殺人鬼に対し奇妙な感情すぎる!。ラストですっきりしないのは残念。ゆえに本作はサスペンス云々より絢爛なキャスティングを楽しむ作品。ちなみに加藤武演じる警部が「口紅にミステリー!」とか叫んでるのは、当時、中井がタイアップで出演してたカネボウのCMのキャッチコピーだったりする…。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ナム太郎[*] Myurakz[*]

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