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[コメント] 鍵泥棒のメソッド(2012/日)

「大事なのはどう見えるかってことだろ!」という、まさにそれこそ内田けんじのメソッド。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







運命じゃない人』は別の人物の視点が加わることで、さっき観客が見た場面の持つ意味が変わってしまうという面白さだし、『アフタースクール』では、前後の場面の情報がカットされることで、実際の出来事がまるで違った話に変わってしまうという面白さ。

映画の技法としてのモンタージュというのが一種の錯覚であり(異なった場面と場面がつながることが新たな文脈を生じさせる・・・つまり観客がそういう文脈を勝手に組み立ててしまう)、それこそが映画を映画たらしめている文法だとすれば、監督の作品は、まさにその映画文法の「本当の面白さ=錯覚」を教えてくれた作品だと思うし、やはり内田けんじファンとしては、作品にやっぱりそこを期待してしまう。

そういう意味では香川が堺に刺される芝居をつけている場面で「大事なのはどう見えるかってことだろ!」っていう台詞があるが、「香川が堺とし行動している」という設定を、たとえば「香川が堺として行動しているように見えている」のように、そこを掘り下げていってトリッキーな展開になってくれるのかな・・・と期待したのですが・・・。ちょっと残念です。まあ、それでもふつうに面白いんで4点で。

小野武彦の葬式ビデオを見て、うれしそうに涙ぐむ木野花の芝居。見る前には1ミリも内田作品に対し期待していないようなふつうの場面なのに、ここが一番グッときてしまった。ふつうが必ずしも悪いわけじゃないんです。

(評価:★4)

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