[コメント] アイアン・スカイ(2012/フィンランド=独=豪)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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密かに月へ脱出し、月面に基地を作ったナチスの残党の地球への侵略を描いたSFコメディ。
ナチスの生き残りが月面で基地を作って地球への侵略を狙っているという、かなり奇異の衒った設定ながら、ただ単純な宇宙人侵略系のSF映画にせずに、戦争や政治への風刺を盛り込んで、シニカルな笑いを作り出した構成は秀逸。
戦時中のナチスに宇宙へ行くだけの開発技術があるのかという点で疑問符は付くが、月面基地のナチスの思想が、明らかに戦時中のナチスの名残を感じさせるものだったり、基地や宇宙船などの構築も古風な雰囲気をしっかり意識しているなど徹底しているし、ナチスの飛行船型宇宙母艦と地球の対ナチス連合艦隊との激戦の特撮もとてもよく出来ている。
ストーリー的にも、どことなくサラ・ペイリンを髣髴とさせるアメリカの女性意大統領の横暴ぶりや月から襲撃してきた宇宙船を北朝鮮が自国の兵器だと言い張って、議会の各国にバカにされるシーンなど、政治情勢を茶化したギャグシーンがなかなか良い味を出している。終盤で月面基地のヘリウム3を巡って、連合艦隊を組んでいた各国が争い、自滅していく皮肉めいた結末もなかなか良かった。
ヒロインのレナーテ・リヒター役のユリア・ディーツェは、パイパー・ペラーボに似た顔立ちで結構可愛く、ナチスの制服も地球での格好も似合っていてなかなか好印象。
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