[コメント] ビルマの竪琴(総集編)(1956/日)
心の中の小さな"水島"が、死ぬ時には少しでも大きく育っているように生きていきたい。
市川崑らしさが大変に良い意味で姿を消している、珍しい作品だと思います。彼らしい「奇」がこの作品では影を潜め、モダンだとかハイセンスなどといった外来語の存在も微塵も感じられない。映像の美しさという点では確かに秀でているかも知れませんが、いつものアクがない。その分どっぷりと物語に浸かってしまう事が出来ました。市川崑の映画を観たというよりも、良い映画を観たとしみじみ思える。
観終わってから、自分が水島と同じ境遇に立たされた時どういう身の振り方をするか考えてみたけれど、水島と同じような行動を私は起こせない。多分。そして恐らく水島のような道を選べる人間は少ないのではないかとも思いました。そういう意味ではこの映画は非現実的だとも単なる理想だとも思える。けれども彼のような心を持って生きる事は人間として当然あるべき姿だと思うし、心の中には小さくてもいいから常に"水島"が存在していなきゃいけないんだと思います。私の心の中のミジンコみたいに小さな"水島"が、死ぬ時には少しでも大きく育っているようにこれから生きていきたいと本気で思います。
----------
08.12.09 記
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。