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[コメント] 籠の中の乙女(2009/ギリシャ)

一般尺度では背徳的な部類の性的シーン、残虐シーン、暴力シーンの衝撃が強く、登場キャラも濃いため冷静に評価しづらいが、社会から隔離して育てたい親の思惑、そこで育てられた子ども達の生態。片や自分の世界はどうなんだと考えさせられ、知的好奇心がかなり満たされた。
irodori

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







家族構成として、サイコパスな父、突っ走る長女、ビジュアル含めて癒しを与えてくれる次女、優等生な長男。ここはバランスが良い。

そこに、どうなっているのかよくわからない母のキャラクターが入っているのが面白い。猫という(彼らの世界では)獰猛な生物が侵入しないよう家族で吠える練習をする際も、一番母が頑張っていたり。父もそうだが、母が一番謎が残る。それがいい。

手放しで笑える人は少ないだろうが、ジャンルとしてはブラックコメディでもあろう。

狙いすぎな笑いネタもあったが、長女が自分の名前は”ブルース”にすると次女に告げ、次女が「ブルース」と呼んで長女が振り返るのを繰り返すくだりなんかはじわじわ来て、好きだ。これも、名前を持たずに育ってきた環境だからこそ笑えるわけで。

映像面では、上下を切った固定ショットが多用されるのがもっとも印象的だが、クリスティナが長女と会話するシーンでなかなかクリスティナを映さなかったり、飛行機(のオモチャ)を争って長女が長男を後ろから蹴るシーンのちょっとしたアクション性だったり、ラストの車のショットの余韻だったりと、いろんな箇所で楽しませてもらった。

(評価:★4)

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