[コメント] キャビン(2011/米)
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ありがちなホラー映画の物語を、裏で操っている人たちがいた! という「捻り」は、しかしジャンルファンにとってはすでに捻りでもなんでもないクリシェ的発想(死亡フラグなんて今なら誰でも知っている)なので、そこからさらにもう二三回転半くらいさせないといかんのじゃないかなーとは思った。『スクリーム』からでさえ15年もたってるわけだし。
まあでも、一発ネタで引っ張ろうとシチュエーションコメディ的になる「司令室」パートはなかなか悪くない。そして彼らのやっていることが「悪趣味」であると物語内で指弾され、ちゃんと因果応報があるのもいい。いやね、個人的に『ソウ』以降のデスゲーム風味トーチャーホラーってムカつくんですよ。殺人鬼がなんかテキトーに哲学的っぽいこと言いいながら被害者同士を殺し合いさせる的なやつ。所詮人間は醜い……だから殺し合う……みたいな幼稚なシニシズムがベースにあるようなやつ。ああいうのほんとイライラすんだよね。デスゲームになったら被害者同士が殺し合うんじゃなくてその「システム」を打倒すべきなんだよ! 神様気取りのオナニー殺人鬼をぶち殺してやるべきなんだよ! というわけで、この映画の後半で司令室のやつらがきっちりぶち殺される展開には溜飲を下げました。あと地球の未来のために犠牲になりなさい→知るか! とあまり葛藤しないとこもいい。ただ、展開に困ると例の神話を絡めてくるのは洋の東西問わず変わりませんなーとは思うので、ここらへんももうちょっと捻ってほしかったかも。
ところで、上記の物語上の仕掛けは、本公開時に配給会社はもとより映画ライターさんや評論家の方々が匂わせつつも隠していた(そしてたぶん、大方の映画ファンは見る前からだいたい予想していたであろう)。だけどこれ、別にツイストの類じゃなく冒頭からどーんと出てくるので、あれ? そうなの? とちょっと肩透かしを食らったというのが正直なところ。これだったら、そこをオープンにしてもっとブラックコメディ風味を強く押し出して宣伝したほうが、面白そうと思う人がもっと増えたんじゃないかなーと思いました。契約とかでそうできない難しい事情があったのかもしれないですが。
[2013年6月1日・池袋新文芸坐オールナイト上映で観賞]
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