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[コメント] クラウド アトラス(2012/米)

自由と愛と戦いと、欲望と過ちと愚行と弱肉強食と、それらすべてを含めた人間賛歌としてみると中々に興味深い。それにしても『ソイレント・グリーン』には恐れ入る。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







6つの物語を、それほど複雑にからませず、見ているうちになんとなくわかってくる構成にしたのは脚本が上手いからか。それぞれなりにいろんなテーマが込められているようにもみえて面白い。

一つ目の、奴隷制が生む偏見と奴隷制を無くすための運動への参加、さらには金貨を狙い毒殺を試みる医者。

二つ目の、すばらしい音楽を生み出す人間の営みと愛とともに、己の野望のために老人を踏み台にしようとする青年と、名声を独り占めにしようという欲望にまみれた老人。

三つ目の、正義と良心にもとづいて、利益のための石油会社の危険な陰謀と闘う科学者とジャーナリスト、そしてそれを狙う殺し屋。

四つ目の、高慢で周囲に迷惑をかける困った身内と、高齢者を厄介払いのために施設へ閉じ込める家族とそれで儲ける事業家。そしてそこから自由への脱走。

五つ目の、クローンとして牛馬よりもひどい扱いを受ける人間の、人間としての目覚めとかすかな希望。

六つ目の、暴力と絶望と荒廃が支配する世界で、己の過ちを悔いながら生きる人間のささやかな生活と、最後の希望のために危険に踏み込む勇気。

俯瞰的にみてみると、ホントに、なんとなく何が言いたいのかわかったような気になる、ちょっと不思議な映画ではある。

ただ、四つ目の原発をめぐるエピソードは、福島第一原発事故を経た日本ではいろんな意味で違和感がある。だって事故がおきても原発なくならないんだから。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)シオバナカオル SUM[*] おーい粗茶[*]

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