[コメント] ワイルド・アパッチ(1972/米)
原題は「戦士の襲撃」と訳せばよいのだろうか。冒頭の砦の平穏は死屍累々の危うさによって保たれたていたのだ。始めに蛮行をふるったのは誰だったか。それは、何のために実行されたのか。蛮行の応酬は互いの平常心を浸食し理解し合えない者たちの群れを生み出す。
もはや、規律と命令という合理に縛られた若き軍人宗教家(ブルース・デイヴィソン)にできることは“埋葬”により敬意と平等性を担保することぐらいだ。ただ当然のことながら、その対象はすべてを奪われた抜け殻の死体でしかないのだが。
先導役の先住民ケ・ニ・ティ(ホルヘ・ルーク)が、軍隊との“契約”の結果として示す合理の非情さが恐ろしい。我々の現在の社会生活は、この合理によって生み出された体制のうえに成り立っているのだ。マッキントッシュ(バート・ランカスター)が醸し出す無常感は、この合理と諦観が紙一重であることを物語っていた。
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