[コメント] ホーリー・モーターズ(2012/仏=独)
別段、めくるめく事件の羅列を「絵解き」しようと躍起になった訳ではないが、自分の中では映像作家ないしは演技者の人生の寓意劇、というところで落ち着いたのだけれど、間違っているのかな?露悪と悲哀が共存するドゥニ・ラヴァンはさておき、役柄に徹しきれない女を演じるカイリー・ミノーグが悲しくてたまらない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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不満はある…とくに最後。
メタ・フィクションめいた想像をくぐり抜け、ラヴァンがエリーズ・ロモー演じる存在と再会を誓い合ったあと、もっとも胸を引きちぎらんばかりに涙を誘うミュージカルシーンとミノーグの最期で、監督の言いたいことは俺も判った。だからラヴァンが、チンパンジー妻子の待つ家に「戻る」ことを強いられる事実は切ない。
だから、それでいいじゃないか。俺以外の観客もそれほどバカじゃない(俺はバカですが)。その後でエディット・スコブや、それ以上にリムジンの正体やらを説明せんでもいいだろうと憤懣やる方ないのよ。せっかくいい女を適所適所に配置してのロマンに水をぶっかけられた気分で。
そう、女優はいい。エヴァ・メンデスの何事にも動じないモデル女も素敵だ。言っちゃ悪いが彼女は無表情で男のハートを鷲掴み、だったわけで。そのあたりの監督の、女優の性格を交えた審美眼には、今更ながらやられてしまう。やっぱりこの作品、図抜けて素敵なのは否定できないし、それゆえ愛すべきフィルムと認めるのだ。
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