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[コメント] ペーパーボーイ 真夏の引力(2012/米)

クライムサスペンス的なノリで見始めたら見事予想を裏切られた。なんかスゴイ映画だった。
jollyjoker

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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フロリダのジメジメした暑さが、「暑苦しく」、田舎時間が「鈍いどんより感」に、社会悪を追及するカッコいいはずの新聞記者が「正義なのかコンプレックスの塊」なのか、なにがなんだかワケがわからなくなる。

作品全体は登場人物それぞれのエゴの追及で、人間の本性丸出しなんだけれど、その中で純粋な気持ちを持ち続ける悩める青年ジャックを好演したザック・エフロン の転機になる作品だと思う。水泳選手だったというエピソードが何度か挿入されるが、これは最後のシーンの伏線なのね。

アニータ役のメイシー・グレイもよかった。ジャックが差別的暴言を吐いたことを後日アニータに謝るシーンは、監督のメッセージなんじゃないか。ママが幼い子供たちを置いて出て行った後、アニータはジャックを自分の息子のように、友達のように思っていたことがわかる。だからこそ人種差別が根底にあるであろう本作の根底にある「理解」というものに注目するのだ。パパと愛人エレンは白人同志一見うまくいっているようで実は利害だらけの関係。兄ウオードと同僚ヤードリーは白人と黒人であるが、裏で成り立つ、これまた利害関係。ヒラリーもシャーロットも、ヒラリーのオジサンもみんな利害関係でつながっているエゴだらけの中で、ジャックとアニータは純粋な気持ちを持っていたことが救われる。

しかし、ニコール・キッドマン ってこんな演技もしちゃうんかぃ!?びっくらこいた。

エグいシーンと何とも後味の悪い結末で、さらにどんよりした気持ちで映画館を出るのであった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 3819695[*]

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