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[コメント] 謝罪の王様(2013/日)

土下座を超える謝罪…ねえ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 概ねは満足できた。前作『なくもんか』は、物語の大味さが目立った作品だったが、本作はかなり緻密な脚本が出来ている。

 本作は5つの章と、それをつなげるミニストーリーからなるが、最初の出会いの物語を除き、他の物語は全て有機的につながっていて、ひょんなところで前の物語の出来事が後ろの物語に出てくることがあって、それらが不思議な演出となって楽しませてもらえる。特に打ち合わせ場所が喫茶店の中にあることで、その狭い空間に色々な登場人物を押し込めることができたのが大きい。舞台が公共空間だからこそ物語に連続性を持ち込めたし、それを上手く活かした物語を作り出すことが出来たのだ。

 「謝罪」という、ある意味最もトレンドなキーワードにこのシチュエーションを加える事によって、魅力的な物語を仕上げることが出来た。映画の質としても結構高い。  後の問題は、これが本来的なコメディとして成り立っているか?という点になるのだが、ここはまあまあかな?シチュエーションにこだわった結果、シチュエーションコメディで全部終わってしまってしまい、小刻みな笑いで終始してしまった感じで大きな満足にまで至ることはなかった。

 特に後半。これまでの伏線が全てつながるべき部分が今ひとつ。国際的に大きな問題にするより、収束に向けてより小さい物語へとすべきだったんじゃなかっただろうか。これだけ緻密に作られているのに、見終わった後、「大味な作品」という印象しか受けない。そこが残念だな。特に「土下座を超える謝罪」と言いつつ、それが実際には全くの的外れなオチになってしまったのが残念というか、落としどころを間違えてるとしか思えないところが残念。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)サイモン64[*] もがみがわ[*]

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