この大宇宙の中、地球に生かされていることの尊さを謳った本作は、最新及び細心のCG技術を駆使しながらも、見せ場として使われる道具が飛んでくる瓦礫であったり、引っかかる（ことで助けられたり窮地に陥ったりする）ロープ類であったり、あるいは炎や水であったりという、古来から使用され続けてきたものであるところが面白い。つまりひとつひとつの見せ場自体はすでに見慣れたものでありながら、そのすべてが平たくいうと「すべらない」ものばかりであるから、私たちはどこかで安心感を抱きながらも、ハラハラドキドキという臨場感を満喫することができたのだ。

もちろん難点がないわけではない。特にすでに死亡している仲間たちを発見する際のショック演出は、明らかに失敗といっていいものだと思う。しかし、それでも本作は、そんな些細な失敗を補って余りある素晴らしいシーンに溢れた、何度観ても十二分に面白い作品であった。

途中何度か宇宙服を脱ぐサンドラ・ブロックの鍛え上げられたボディラインや、事前に選択され尽くされたであろう必要最小限の言葉の美しさとともに忘れられない作品。

特にラスト、地球へたどり着いた際にサンドラから発せられる「Ｔｈａｎｋ　ｙｏｕ」の一言は本当に心に沁みる。