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[コメント] ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013/米)

モンタナ、サウスダコタ、ネブラスカ…グローバルでマッチョな米国像とはまったく切り離されたもう一つの”アメリカ”の現実がそこにはある。そして、これは紛うことなき「自動車」の映画である。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







物語はほろ苦い。が、その苦さも含めて人生だよな、と思わされる抱擁感が溢れる。

故郷の街で、狭い「世間」が見せる暖かさと貧しさ故の悪意がリアルだ。母親役のジューン・スキッブ、そして従兄弟のデブ兄弟のキャラクタが可笑しくて佳い。線路で入れ歯を探す場面も楽しい。

そして、これは紛うことなき「自動車」の映画である。父は、息子にトラックを買い遺すことを目的に「徒歩で」ネブラスカを目指す。免許を剥奪され、運転ができない。息子は父を車に収容し、ひた走る。従兄弟たちはドライブに時間がかかり過ぎだと笑う。車種は何かと問い、日本車ばかりじゃねえかと嘲る。家を間違えてエアコンプレッサーを納屋に返し、兄弟は母の運転する車を追いかける。息子は束の間の凱旋ドライブを父にプレゼントする。中西部の何もない大地をひた走る自動車。「地方」の現実の在り方は日本のそれと大して変わらないが、自動車という存在の位置づけはまた一味異なる風味を加える。

(評価:★3)

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