当地では字幕版が掛かってなくて、吹替え版で観た。特に歌は、原声で聞きたかったと思う。日本語版も悪くはないが、翻訳調の不自然さがどうしてもつきまとった。「少しも寒くないわ」の部分など、原語の口の動きに合わせたとテレビでやってたが、本質と違う部分に力を注がなくていい。本質とは、簡単な話で、音韻の連なりが生む美しさのことだ。これがなければ歌とは言えない。少なくともいい歌とは。

　そのせいか、ミュージカル物を観て生まれて初めて「この人たちは、どうして突然歌い出したり踊り始めたりするのだろう？」と思わされた。

　また、ミュージカルというスタイルは、“二人の愛の盛り上がり”を描くことを得意とする。これが後で偽計だったとされてしまうと、この作り手たちは本当にミュージカルを好きなのだろうかと疑う気になる。

　そんなこんなで、75点。物語はちゃんとあった。字幕版で観たら、80点（★4つ）だったかも。

14/06/07記