[コメント] 悪いやつら(2012/韓国)
何か思い切りアナログ感覚のある、人間むき出しの韓国映画、久々の秀作である。とにかくのし上がるのに貪欲な一人の元公務員のちっぽけな男が、畑違いの闇組織を牛耳っていくさまが爽快。醜すぎるその生き様はいとおしく憎めない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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韓国映画でハッと気づくのが血縁関係と官憲の汚職である。大叔父というだけでやくざの組長をひれ伏させるそのお家柄。そして裁判官でさえカネで動くといわれるそのすさまじさ(本作では検事であるが)。まさに人間的であります。
出てくる出演者全員が生き生きと動いているのがこの映画の魅力だ。みんな水を得た魚のように映像の端から端まで観客に強く訴えている。何を、って。それは生きるためには人間何でもするように出来ているという単純なことである。
本能丸出しの彼らの生き様はしつこいようだがいとおしくかわいい。素敵である。かっこよくはないけれど思わず目を見張ってしまうほどだ。日本人が今右往左往している様を感じるにつけても、そろそろかっこを付けるのを止めて素に戻ればいいじゃん、と思ってしまうほどの快作である。
どうしてもチェ・ミンシクが目立ってしまうが、対照的なハ・ジョンウの、冷血さと人の好さを併せ持つ超かっこいいところもこの映画の見どころである。ラストの低音の「大叔父さん」というセリフは断然この映画を締める。
こういう飾らない、人間的な卑しさを堂々と全面に出す映画がなぜ日本で生まれてこないのかなあ、、。不思議である。そろそろ日本映画、かっこつけなくてもいいんじゃないかい?
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