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[コメント] 都会の女(1930/米)

シカゴの過密(客がごった返す食堂)と孤独(窓のそばを電車が通る部屋)から、広大なミネソタの麦畑で新生活への希望がはち切れる爽快な移動撮影へと至る開放の妙。さらに、封建に耐える気丈な新妻を追い詰める野卑な男の欲望とシンクロする嵐の前の一夜の不穏。
ぽんしゅう

都会の女(チャールズ・ファレル)の行く末から目が離せない。それはともあれ、この中西部の成功者である大農場主一家は、これから彼らを襲う「大恐慌」の嵐をまだ知る由もないのだが。後年(1978年)、テレンス・マリック監督がテキサスの巨大麦農園を舞台にした『天国の日々』で、このヒロインの逆バージョンを描いていたのを思い出した。

ヴァイオリンとギターが中心の劇判付きバージョンで観たのですが、正直なところ単調なメロディとわざとらしい抑揚の繰り返しがいささか耳ざわりでした。1930年というトーキー移行期なので音声バージョンもあるそうです。同時代の『嘆きの天使』や『巴里の屋根の下』の音声処理の完成度を思えば、本作の都会の喧騒や嵐の風雲の処理を有音で観てみたいと思いました。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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