コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 恐怖のまわり道(1945/米)

これは傑作だ。まずは開巻間もなく、主人公トム・ニールが、ハイウェイ横のダイナーで、思い出の曲を聞いて回想に入る処理に唸る。唐突にローキーになり、ジュークボックスのレコード盤から、NYのクラブのドラムセットのバスドラムに繋ぐ、円形のマッチカット。
ゑぎ

 続いて歌手のクローディア・ドレイクが、くだんの曲を歌い出すのだが、ピアニストはトム・ニールなのだ。二人は恋人同士で、この後、NYのシーンがしばらく続くが、街を二人で歩く場面の霧の表現もいい。BGMには、ジュディ・ガーランドの持ち歌としてお馴染みの「Im Always Chasing Rainbows」の変奏が使われ、盛り上げる。 また、トム・ニールのピアノは音楽担当のレオ・エードディの演奏らしいが、かなり上手い。ショパンとブラームスを聞くことができる。

 そして、中盤になって、満を持してアン・サヴェージが登場する。ガスステーションで、歩いて来るのを俯瞰ぎみの移動ショットで捉えるのだが、この登場から顔が怖い!スーザン・ヘイワード似の美人なのだが、何という気性の激しさ。最強のファム・ファタールだ。また、微妙な悲哀も感じさせるところが素晴らしい。単に怖いだけでなく、とてもスマートな女優だろうと思わせる。どうして、もっとビッグな女優にならなかったのだろうと思う。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)袋のうさぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。