[コメント] ゴーン・ガール(2014/米)
予告編にはいい意味で完全に裏切られる。「失踪」という手垢まみれのモチーフを見事なまでに再構築しては、ぶっ壊す原作、脚本の強度と、そこに立ち現れる暗黒の穴に呑み込まれるような恐怖感、虚無感。ファーストカットとラストカットの巨大な落差、この深淵はどうだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ロザムンド・パイクはエイミーを怪物にしなかった。
さらりとやってのける身軽さを彼女は持っている。
物語をサイコパスではなく復讐劇のサイドに持ち込もうという魂胆に、
まんまと僕たち観客を引き込んでしまう。
バカ亭主をぎゃふんと言わせてやれ、という物語のベクトルが加速し、
エイミーはサイコパスではなく、もはやスパイ映画の工作員のように振舞う。
結婚とは何かとか、過熱するメディアとか、「完璧なエイミー」の呪縛だとか、
枝葉もいろいろあり、論点も豊富だが、結局はロザムンド・パイクの存在感に尽きる。
正体を暴かれつつも、見事に帰還し、視聴者を欺き、亭主(精子)を人質に取り、
堂々と第2の結婚生活を謳歌する。
映画のいいところはここだ。
つまり、欺かれていない観客だからこそ味わう、この暗黒の穴に吸い込まれる恐怖。
エイミーがじっと見つめる、その瞳の暗黒に。
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