[コメント] ミンヨン 倍音の法則(2014/日)
もう「映画」というよりも「佐々木昭一郎」というイベントを見た、という感覚なのだが、それでもラストは映画として感動した。初めは被写体が近過ぎるのとカメラ目線と素人臭さに参ったが、これぞ佐々木昭一郎、だと思っている内に、慣れてくると癖になるのだ。
ただ、どう贔屓目に見てもズームははっきり云って使い過ぎ。看板を映し、既に判読できる文字にまで寄るのは、映画として初めて見た。まるでギャグのように感じた。このあたりはカメラマンの吉田秀夫の裁量のような気もするが、ズームのセンスを置いておくとすると、全編に亘る手持ち撮影の安定感と効果的な360度パンについては殆ど奇蹟的なカメラワークだと思う。 また、プロットについては後半になるほど良くなる。海の塩作り、風鈴、ハーモニカからサッカーの笛作りの話、こういったドキュメンタリー部分の切り取り方が相変わらず感動的だ。
そして本作においてどうしても触れない訳にはいかないのがタイトルにもなっている「音楽・ハーモニー」についてなのだが、オーケストラや吹奏楽の場面もあるが、何と云っても素晴らしいのはミンヨンが笑顔で唄う時代錯誤も甚だしい歌の数々だろう。度々挿入される青空バックで唄うミンヨンのアップ。このカットの気持ち良さと云ったらない。
なんて美しい空!美しい空があるだけで映画になるか?勿論なるのである。
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