[コメント] 恋人たち(2015/日)
絶賛された今までの作品群からは、ふらりと糸の切れた凧のように空を泳ぐかのような作品である。一挙、出発地点に戻ったかのような初動映画のような色合いがある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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見終わってから思うと、3人のそれぞれの話である。愛妻を通り魔に殺された男。姑と夫とともに明日のない生活を背負わされているどこにでもいそうな主婦。そして学生時代から好きになってしまった男を今でも忘れられないゲイの弁護士。
そこにあるのは現代の喧騒である。いや、現代は喧騒である。喧騒の中に我々は生きる。それは致し方あるまい。仕方のないことなのである。それをこの映画で見る。つらい。現実をつぶさに見ることはつらい。嫌悪感さえ感じるほどである。
弁護士以外はそれでも何もない日常に戻っていく。それでも人は生きていかなければならない、のか。それが生きてゆくということなのか。ゆるやかに、運河の船に乗っているように。ひとは右、左、上と確認し日常を生きる。
やはり一人、あの弁護士、トーンが違う。何もない当たり前の普通の日常が一番幸せだとしたら、彼は永遠にそれに近づけないのだろうか。でも、愛する男の影を傘で自然となぞる男である。男の妻が気付かないわけがない。愛された男側からすると違和感以外の何物でもないのではないか。
何かざらっとした質感のある映画でした。つらい映画でもあります。やはり主役が3人とも無名俳優というのは何とも言えない印象を与えてくれますネ。でも橋口をずっと見てきた僕からすると、この世界観は小さい。切実ではあるが、広がらない。
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