どんでん返しというのは、ある種の「やられた」感が気持ちよいのであって、思考が混乱する、まさに白でも黒でもましてやピンクでもないグレーな状態のまま放置される状況に気持ちよさは伴わない。一言で言うと、まさに「しょうもな」である。

個人的には、劇中劇であった「ピンクとグレー」に結構ハマって見入っていたので、余計にその思いが強かった。柳楽に関しても、別人だとは頭の中では理解しつつも、劇中劇における中島のごっちの印象があまりにも強く、映画としてうまくリンクしていないように思った。

その中島をはじめ、菅田や夏帆など若手は揃って頑張っていたし、ところどころにはさすが行定と思わせるハッとするショットも見られた。だからこそこのトリックばかりに気をとられがちになってしまう仕上がりがとても残念。