[コメント] ボーダーライン(2015/米)
ロジャー・ディーキンスの撮影。夕景や夜間の透き通った空気の感覚が美しい。あるいは、冒頭から、屋内シーンの窓外からの光の扱いもディーキンスらしい繊細さだ。
また、密輸トンネルの急襲の場面における、暗視カメラ映像(モノクロ反転映像)が、極めて美しい造型で、ちょっとこんなの他で見たことない、と思えるものだ。全般に撮影には瞠目するし、ドゥニ・ヴィルヌーヴの演出による緊迫感の創出もいいと思う。
しかし、それに比べてテイラー・シェリダンの書いたプロット(だろう)には違和感を覚える部分がある(ヴィルヌーヴ他のアイデアかもしれないが)。
例えば、資金洗浄のために銀行に来た女を逮捕する場面で出てくる、札束をまとめる色付きゴムバンド、その伏線としての扱いや、バーでダニエル・カルーヤの友人として近寄ってくる警官ジョン・バーンサルとエミリー・ブラントとの顛末、このシーケンスでのベニチオ・デル・トロの役割なんかは、ちょっとこの展開は筆が走り過ぎているように感じられるのだ。
あるいは、前半からクロスカッティングで度々挿入される、メキシコ人警官の家庭描写は、これはいらんだろ、と思わせる。この警官をもう少し大事に扱わないと意味がないのではないか。せっかくのエピローグも殆ど感慨がわかない。
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