[コメント] ルーム(2015/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
少年にとって、「ルーム」の中で見た物、聞いた事が全てだった。
脱出した後も、どこにいても落ち着かない。周囲の喧騒の中で、ルームに戻りたいと言った。
母親にとって、「ルーム」から二人で脱出する事が全てだった。
脱出すれば幸せになれると思っていたけど、ほんの短い間に自分で自分を追い込んでしまった。
この映画は、脱出してからの後半が本題だと思います。母親の両親役でベテラン俳優たちも登場し、観る我々も、狭い部屋から、広い世界へ連れ出される。
ジャックは母親より早く順応できた。ルームしか知らない彼は、戸惑いながらも、新しい世界への扉を開けて進んでいった。
それは周りの支えが、特に祖母たちがいてこそ。とてもジョーン・アレンが素敵だ。髪を切るシーンでジャックがいった「大好きだよ、ばあば」。その言葉に思わず感涙する祖母。ある意味、祖母も解き放たれた瞬間です。
取り残された母親。「普通に育てたい」というが、閉じ込められた年月のせいで、他者とコミュニケーションをとることも、頼ることも、できなくなっていた。自分で自分を追い込んでしまった彼女は、逃れる術を見つけられなかった。
ジャックは「成長」した。それを母親が「認める」ことで、ようやく手にしたかった平穏な日々を得た。
最後、「ルーム」を訪れた二人。「こんなに狭かったっけ?」というジャック。心身共に成長した事を裏付ける言葉。そしてルームに別れを告げて、ドアを閉めた。
ようやく本当に「ルーム」から脱出できたようです。
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